なんで北海道と九州だけに「カルデラ」はあるの?

お疲れさまです。

今日は日本に111ある活火山のうち、なぜ巨大カルデラ火山は北海道や九州にしか形成されていないのかということについて取り上げたいと思います。

日本列島のような沈み込み帯の火山では、多くの場合地殻とマントルの境界のモホ面付近に親マグマ溜まりが作られています。

そして、このマグマ溜まりやマントルダイアピルが高温であるために周囲の地殻は融解を起こして部分融解ゾーンができます。

この地殻融解ゾーンで作られた流紋岩質マグマが上昇・集積すると巨大なマグマ溜まりを形成して、カルデラ噴火を起こします。

しかし、このようなプロセスがいつも起こるのであれば、日本列島の火山の地下ではどこでも流紋岩質のマグマが作られて、至る所で巨大カルデラ噴火が起こっても不思議ではありません。

しかし、111ある活火山のうち、巨大カルデラ噴火を起こした火山はわずかに7つで、しかも北海道と九州にしか分布していません。

つまり、この地域に限って融解ゾーンで作られた流紋岩質マグマが上昇・集積する条件が揃っているのだと考えられます。

これらの地域では融点が低く融けやすい岩石、例えば砂岩や泥岩が地殻の底あたりを作っていると考えることもできます。

しかし、日本列島の地質構造を見てみると、そうはなっておりません。

また、これらの地域で頻繁にマントルダイアビルが上がってきたり、あるいは上昇してくるダイアピルがかなり大きなものであれば、巨大カルデラ火山が作られる理由として単純に説明ができますが、そのようなメカニズムも考えにくいです。

では他の活火山と一体何が違うのでしょうか?

これについて有力な説としては、地殻に働く力やそれによる変形の様子に原因があるのではないかというものがあります。

つまり「歪みの蓄積する速度」の違いによって、巨大カルデラ火山が形成されているのだという考えです。

実際に調べてみると、巨大カルデラ火山は歪み速度が小さい地域に分布していることが判ります。

東北地方や中部地方は火山が密集していますが、巨大カルデラ火山は存在しません。

このような地域は歪み速度が大きい傾向があります。

それに対して、北海道や九州などの巨大カルデラ火山が形成されている地域では歪み速度が小さい傾向があるんです。

地殻の歪み速度が小さく、粘性が比較的高くて硬い場合には、固体部分が変形しないために、軽い流紋岩質マグマが発生すると、すぐにその浮力で融解ゾーンから分離してしまうと考えられます。

こうして次々と流紋岩質マグマが上昇し、これらが集積して巨大なマグマ溜まりが形成され、最終的に巨大カルデラ火山が生まれると考えられています。

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