【3/19配信】静穏化の異常現象について詳しく解説します

先日、静穏化現象についてのお問合せがありましたので、同じように正しく理解できていない方もいるかと思いますので、わかりやすく説明しておきます。

静穏化現象の推移は大きく「異常」「収束」「解消」の3段階に分けられます。

異常はその領域で静穏化の「異常」が確認された場合を示し、今後の推移を観察する必要があります。

そしてその後、地震活動が通常の推移に戻ることで「収束」となり、収束後に地震が発生する可能性が高いと考えられています。

そして地震発生、もしくは地震活動が平均よりも活発化することで「解消」されます。
この時点で発震リスクは低くなったと判断します。

わかりやすく表現すると以下のようになります。

①静穏化異常の最中→地震のスタンバイ状態
(歪みを溜め込む期間)

②静穏化異常の収束→要警戒
(いつ対応地震が起きてもおかしくはない)

③静穏化異常の解消→発震リスクの低下
(既に対応地震が起きている、あるいは今後起こる可能性が低くなった)

また、一連の流れは次のようになります。

地震活動の静穏化異常が出現

静穏状態が収束

大地震発生あるいは地震活発化

静穏化異常の解消後、平常時に戻る

パターンは複数存在しますが、ひとつの異常から解消までの推移の例として以下の画像をご覧ください。

グラフが平均値よりも上に行くと「活発化」、下にいくと「静穏化」です。

ここでは異常の出現後、綺麗に収束に転じ、完全に収束する前に地震が発生して解消し、最終的に平常時の推移に戻っています。

パターンとしては大きく「完全に収束する前に地震が発生するケース」「完全に収束し、平常時に戻った後(数か月~数年後)に地震が発生するケース」にわけることができます。

これくらいの説明で多少はイメージができるようになりましたでしょうか?

またわからないことがあればいつでもお問合せください。

地磁気異常

観測されたすべての地磁気異常をもし地殻活動によるものだと仮定した場合に、推定される影響範囲、つまり震源となり得る領域を地図に簡単に円で囲んで表示します。
本当に地殻活動が要因であるのかどうかは、その他の地殻変動などの観測データと照らし合わせて可能性の有無を判断する必要がありますが、それらもすべて考慮したリスク評価を予測地図では行っておりますので、ご安心ください。

短期地震予測地図

(2020年07月から現在まで)
地震観測数(M4.0以上):216回
対応地震(M4.0以上):173回
的中率:80.0%
※「福島県沖の余震活動」も計算に入れると的中率が不当に高くなってしまいますので統計に含まず計算しております。

北海道地方

■静穏化異常
十勝沖エリアでの静穏化異常については青森県東方沖で起きたM6.5の地震の影響で解消傾向にあるようではありますが、まだ完全に解消されきっていないことから、今後もう一つ対応地震が発生する可能性を危惧しております。

■水平変動
東川で北東方向への顕著な水平変動が見られていましたが、まったく逆方向へと動きが変化しております。
これにより富良野断層帯に歪みが蓄積される可能性がありますので注意が必要です。

東北地方

■2/13福島県沖地震(M7.3)
活発な地殻変動などもほとんど収束しており、特に異常はないとも言えますが東北地方太平洋沖地震に伴う沿岸部の隆起は依然続いており、また福島県沖地震(M7.3)による影響もまだ今後しばらく継続すると考えられることから、少し警戒レベルは高めに評価しております。

中部・関東地方

■静穏化異常
静岡県東部から神奈川県周辺にかけて大きな静穏化異常があり、現在収束傾向にあります。
今後、中長期的な大地震の発生リスクは相対的に高いと評価しており、警戒レベルを高く設定しております。

近畿・中国・四国地方

■静穏化異常
和歌山県北部の一連の地震活動に伴い、大阪府周辺の静穏化異常が解消傾向に向かっております。
少なくとも4月までの推移を観察してリスク評価を見直したいと思います。

■地震活動
和歌山県北部の地震活動が活発化しています。
15日に震度5弱を観測する地震が発生しましたが、今後さらに強い揺れを伴う地震が発生する可能性がありますので注意してください。

九州地方

■地磁気異常
地磁気異常は収束しておりますが、地震活動の推移などから南部地域はまだ要注視としております。

沖縄地方

■地磁気異常
地磁気異常が2日連続で観測されておりましたが、その後は静穏状態に戻っております。しばらくは要注視とします。

TEC異常による短期地震予測

(2019年12月から現在まで)
異常値を観測した数 :133回
10日以内の対応地震 :113回
異常値を観測せずに発生したM5.0以上の地震:13回
的中率:75.1%

異常値(平均値±2σ以上)の観測後10日以内に対応地震が起こる可能性について統計を取っております。
具体的には震源の深さなども考慮しますが、標準偏差が大きいほど対応地震の規模も大きくなるとし、予測される規模を以下に記載します。
(最後に観測された異常値)
日付異常の有無対応地震
10日
11日
12日
13日
14日M4.5~和歌山県北部M4.6
15日
16日
17日
18日M4.0~要注意
19日

地震リスクの長期評価

「10年以内」に大地震が発生する可能性が高いエリア

過去10年間の地殻変動データの推移から発震リスクを評価しております。

「5年以内」に大地震が発生する可能性が高いエリア

過去5年間の地殻変動データの推移から発震リスクを評価しております。

「1年以内」に大地震が発生する可能性が高いエリア

過去1年間の地殻変動データの推移から発震リスクを評価しております。
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