南海トラフ、首都直下、千島海溝沿いの巨大地震を事前に予測する方法

本日3月11日で東日本大震災からちょうど10年が経過します。

コロナの影響で友人のお墓参りにも行けず、事務所で司さんと2人で作業をしております。

今日は東日本大震災の教訓を忘れないようにとYouTube、テレビ、ラジオ、ネット記事など様々なメディアで「防災」について大きく取り上げられており、今日は1年の中でも国民が特別防災意識の高まっている日ではないでしょうか。

10年前の今日、東北地方を中心に一体何が起きていたのか?そこから何を学ばなければいけないのか?というのは皆さんも嫌になるほど聞かされてきたかと思います。

なので、この多くの人の防災意識の高まる特別な1日に私は何を伝えればいいのだろう?私にしか伝えられないことはあるのか?と考えました。

そこでここでは、私の研究テーマのメインとなっている「南海トラフ巨大地震」とそれよりも切迫している「首都直下地震」や「千島海溝沿いの巨大地震」の誰でもできる事前予測の方法について話していきたいと思います。

とはいっても地震学者ですら地震を予知することは不可能なのに、誰でも事前予測できる方法があるのか?という疑問があるかと思います。

そこで理解して頂きたいのは、あくまで可能性の話であるということです。

例えば、過去の歴史的事実から東海地震が発生すれば極めて高い確率で南海地震が発生するということが明らかになっています。

その事から東海地震から南海地震をまとめて「南海トラフ地震」と総称されるようになりました。

しかし、東海地震が発生したからといって100%南海地震が誘発されるとは限りません。

あくまで「可能性が相対的に高まる」ということです。

もっと具体的に説明すると、東海地震が起きていないときよりも、東海地震が起きた後のほうが南海地震が発生する可能性は高くなるということです。

確実に起こるかどうかは誰にもわかりませんが、「可能性が高くなる」ということは明らかになっているんです。

このように南海トラフ地震だけでなく首都直下地震も、また千島海溝沿いの巨大地震にも同じように可能性が高まる現象というのは確認されていて、現在でも研究が続けられています。

では、地震予測の可能性について理解して頂いたところで、それらの巨大地震の事前予測の方法について紹介していきます。

ちなみに「だれでもできる」というテーマですので、ネット上の情報のみで解決できる方法に絞られます。

そうではない地殻のあらゆる観測情報に基づくデータにのみ現れる異常などは、マガジンの情報をしっかりと確認していただくしかありません。

ではまずは首都直下地震が発生する可能性が高まる現象とはどのようなものがあるのでしょうか?

もっともわかりやすいのが、近隣での巨大地震の発生や火山の噴火です。

ただ、首都圏に関しては近隣とはいっても地下構造が複雑であり、フィリピン海プレートと太平洋プレート、そして北米プレートという3つのプレートの影響を受ける場所にちょうど位置しています。

そのため、つい最近発生した福島県沖の地震も関東地方の地殻に少なからず影響を及ぼしている可能性は高いですし、東海地震の影響ももろに受けやすく、糸静線という日本列島をまっぷたつに分断する巨大断層が動けば、当然関東地方も地震のリスクがのしかかってきます。

そして噴火に関して言えば、やはり富士山の噴火は首都圏への大きな被害が懸念されているだけでなく、地震活動とも密接に関連している可能性が高いと考えられています。

噴火の規模が大きければ大きいほど、大きな地殻変動を伴うのですが、関東地方の地下構造であったり過去の事例からも、やはりその影響をもろに受けやすいのです。

また、これらは南海トラフ地震や千島海溝沿いの巨大地震など、他の地震にも共通して言えることでもあります。

例えば南海トラフでは中央構造線活断層帯や日向灘などがあり、千島海溝では青森県東方沖などがあります。

「近隣で大きな地震や噴火があった場合」

当然のようなことではありますが、どこで地震が起きた時にもっとも影響を受けやすいのかということは理解しておく必要がありますし、また、必ずしも近隣で大きな地震があったからといって、そこで地震が誘発される可能性が高まるとは限らず、反対に地震が起きにくくなる場合もあるということも知っておく必要があります。

ただ、これについては地震発生後の応力変化を余震分布や地殻変動などから推測する必要があるので、今ここで起こるとここは起きにくくなると説明できるものではありません。

もう一つ、地震の発生パターンとして共通する「可能性の高まる現象」としては、

「震源域周辺で群発地震が起こる」

というのがあります。

最近では和歌山県北部で群発地震が続いておりましたが、このように普段から度々群発地震活動を起こすような場所であっても、後々それが前兆であったとなるケースもありますので気を抜くことはできません。

和歌山県北部は南海トラフ地震の想定震源域内でもあるため、もしかすると南海トラフ地震の前兆としてそこで群発地震が起こるということも可能性としては考えられるのです。

首都直下地震などの内陸部での地震にもいえることで、例えば東京湾北部などで群発地震が発生したとすると、その周辺を震源として首都直下地震が起こる可能性は「相対的に」高まっていると考えてもいいかと思います。

ただし、その群発地震活動がまったく他の要因、例えば火山活動などによるものであるとしたならば、地震ではなく火山噴火に注意すべきです。

このように誰にでも危険を察知できる項目は複数あり、それらを総合的に判断して地震が発生する可能性が高いのかどうかを判断しなければいけません。

それでは最後にもう一つだけ紹介しておきます。

地殻変動は地震のリスクを評価するのに欠かせないデータなのですが、これに関しては誰もがリアルタイムに観測情報を得られるものではありません。

しかし、地震発生の直前に起こるであろう変動を「海」から捉える方法があります。

それが

「潮位変動に注目する」

ということです。

例えば東海地震の前に現れる可能性があると考えられている「プレスリップ」のような瞬間的に地殻が大きく変動する現象などは潮位変動にも変化をもたらす可能性があります。

南海トラフや千島海溝などの海溝型地震の場合、地震の直前に比較的大きく動きやすい部分は海の中にあります。

つまり海底が大きく隆起、あるいは沈降した場合、潮位も同じように上下に変動することになります。

その他にも地下水の変化などもありますが、南海トラフ地震に関する前兆は以下の電子書籍に詳しく記載しておりますので、もし興味があれば読んでみてください。

kindle版を読みたい方はAmazonで以下のタイトル、もしくは「南海先生」と検索いただけると出てくるかと思います。

【南海トラフ地震警戒情報-起こり得る前兆や誘発現象-】

今日は朝から晩までテレビでも防災に関する番組が放送されていて、防災に携わっているものとしては少し嬉しい気持ちになりました。

同じ内容を繰り返しでもいいので、日本では防災専用のチャンネルというものがあってもいいのではと感じる1日でした。

今ではYouTubeで興味のある分野を興味のある人が視聴できるようになってはいますが、特に興味のない人に今後興味を持ってもらう、もしくは頭の片隅にでも知識を強制的に置いてあげるということに関してはやはりテレビの影響力は計り知れません。

東日本大震災やスマトラ島沖地震では「津波が来る」とわかっていても多くの人が流されてしまう惨事となりました。

同じように「明日大地震が来る」と仮にわかるようになったとしても、基本的な知識すらないという人が一定数いる限りは犠牲者はおそらくゼロにはなりません。

地震がいつ起こるのかというのは誰もが知りたい情報ですが、災害に関する知識というのは、それと同じくらい大事なものなのです。

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